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いのちを語る④
 仏教徒として守るべき戒(いましめ)の一つに「不殺生戒(ふせっしょうかい)」があります。これは、文字通り殺生をしないと言うことです。
私達人間は、ものの命を奪わずには生きていけません。食べるということは命を頂くことです。食事の前に、合掌して「いただきます」とお唱えするのは食べ物に対して「あなたの命をいただきます」ということであります。また、食べ物が、自分の元に料理として届くまでには野菜でも肉でも魚でも、多くの人々の労力や手間、天地自然の恵があったればこそでありますから、その事に感謝してお唱えするのであります。
 お釈迦様は「生命を殺すことなかれ、生命を殺さざれば仏種増長す」と説いて、むやみな殺生を禁じられました。
タイやミャンマー、ベトナム、スリランカなどの小乗仏教の国の僧侶は蚊やハエ、虫けらでも殺さないように修行生活を送っています。それは、命を奪うという行為が「罪」であり、自らの心の中にある「仏心」に反する行為だからです。
 拙寺の檀家ではありませんが、毎年3月のお彼岸に必ず魚の供養をされる魚屋さんがあります。もう10年ほど前に魚の供養をされる理由をご主人(故人)に尋ねたことがありました。
 ご主人は「昔は市場で仕入れた魚を氷を入れて並べておけば売れた。ところが、最近では、生きた魚を求めるお客さんが多くなった。その為に、いけすに入れて生かしている魚を捌いてお客様にお渡ししなければ商売にならない。しかし、どうしても自分の手で『息の根を止める』ことに抵抗を感じる。だから、せめてもの償いと思ってこうしてご供養することにしました」と話して下さいました。
 人間は、何事でも続けておれば「慣れ」というものが出来てきます。魚の命を奪い捌くことに最初は抵抗感を持っていたとしてもやっている間に段々と慣れて罪の意識を感じなくなるのが大方の人間ではないでしょうか。それは、とりも直さず人間性が荒んで行くことなのです。
 テレビゲームには互いに殺し合うことで勝負を争うものが殆どのようですが、例えゲームの中であっても「殺す」ということに慣れて行く、命を粗末に扱う心理が芽生えてくるのではないでしょうか。これも、人間性が荒んでいくことだと言えましょう。
 逆に、命をいただいて生かされていることに感謝しながら日々の生活を送っている人は人間性が荒んで行くことはないでしょう。それが即ち「仏種増長す」と言う事なのです。
この世の中で誰もが一番愛しくてかけがえのない者は自分自身であります。であれば尚更「自分が愛しい」と思っている者の命を脅かしてはならないのであります。
 ここで、法律と道徳、仏教の違いを話しておきましょう。
法律では「悪いことをした者は罰する。殺したものは罰するからしてはならない」。道徳の世界は、「命を大切にしなければならない。殺してはならない・悪いことをしてはならない」であります。
仏教では「殺すことはできない。悪いことはすることが出来ない」であります。つまり、悪いことをすることが出来ない人間をつくることが仏教の目的の一つであります。
 
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【2007/01/20 22:28】 | いのち | トラックバック(0) | コメント(0)
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藤井慶峰の日々を綴るブログです。法泉寺のHPへ

プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
(著書)美しい地球と未来を子供たちに ㈱ぱんたか刊 1300円 この本を送料・税込み1000円で差し上げます。

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