船場吉兆「偽り」の代償と料理人の心得
 老舗の高級料理店船場吉兆が遂に廃業に追い込まれました。
昨年の社会情勢を表す「偽」を文字通りやってきた大きな代償ではありました。
今回の「偽り」は、お客様に出した料理の手付かずの料理を他のお客に出していた所謂「使いまわし」が明るみに出て、客離れに拍車がかかって経営が行き詰った結果のようです。
 女将の説明では「もったいない」ということで、先代の社長が使い回しを支持していたというこですが、「もったいない」と言う事で済ませられる問題ではありません。
 店には、客に対して注文を受けた料理を提供する義務があります。その料理は、当然、新鮮であり板前さんが真心を込めて作った料理であるべきです。一度、客に対して提供した料理は、出した時点で「消費された料理」として始末されなければなりません。手をつけていないからと他の客に対して提供する行為は「詐欺」と言えましょう。
 「もったいない」と言って、職員が食べる事には何等問題はありませんが客に出す事は絶対にしてはならないことであります。
 道元禅師は、禅林で修行僧の食事を作る役目の和尚を典座(てんぞ)和尚と言いますが、その典座和尚の心構えを「典座教訓」という書物に書き記しておられます。
 その心得に三つあります。
 先ず、「喜心」(きしん)です。この世に命をいただき生かされ、仏道を求める修行僧の料理を作ることに喜びを感じる事の大切さを説いておられます。
 二番目は「老心」(ろうしん)です。これは、親が子を思う心です。と言ってもこの頃の子供を虐待したり殺したりするとんでもない親の心ではありません。本来、親と言う者は、常に子を守り庇う心をもっているものです。親の子を思う切なる心、願いを親切心と言いますがその心を老心と言います。
三番目は「大心」(だいしん)です。「心の広きこと海の如く、心の大きなこと山の如く」であります。
 食材を最高に生かし、決して無駄にしない。そして、修行僧の「良薬」としての食事を提供することです。
 禅門の典座和尚は、余程修行のできた和尚でなければさせてもらえないのです。そこには、一分の私利私欲が挟まる余地は無いのです。
 精進料理と言うものは、食材を最大限に利用し決して無駄をすることがありません。
しかしながら、船場吉兆の「もったいないから使い回し」とは根本的に意味が違います。
 船場吉兆のそれは、私利私欲を満たす為の行為でしかありません。
 その行為の過ちが如何に大きいものであるかを気付くのが遅過ぎたようです。
 お客様に対する尊敬の心、感謝の心を持ち、「美味しい物を食べていただきたい」という心、もてなしの心があったなら決してこんな結果にはならなかったでしょう。
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【2008/06/01 22:15】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1)
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コメント
船場吉兆廃業のニュースにはいささかの驚きもありませんでした。むしろ、今までお客様を欺き続けてきた罪の償いに応えるべく当然の結果と納得してしまいました。
老舗の看板を掲げていながら、その看板の名に恥じるこれまでの行為は、食を預かる者として心得ていなければならない最低のモラルに欠けるものではないかと激怒と悲しさが募る思いです。
「もったいないから・・・」との弁明には開いた口が塞がらず、その行為は藤井老師のおっしゃる通り「詐欺」がまいの行為に等しく、許せるものではありません。「もったいない」の意味を私利私欲に繋げ、騙し偽るしたたかな行為は非道です。
衛生上悪いのは勿論ですが、老舗の名を語り、付けた高級な値段にお客様は信頼して料理を食していたことと思います。人を欺く悪質極まりない行為は犯罪です。製造年月日の改竄問題に端を発し、使い回し至る「偽」の代償として、廃業は因果応報の然るべき結果です。
老舗には老舗に相応しい人間性が具わって初めて、老舗の風格が滲み出てくるものではないでしょうか?そして風格が作り出す料理こそ逸品であり、料理人の心ではないかと思います。
日本人の精神的荒廃が叫ばれる今日、日本の心を表現する日本料理店でこのようなことが行われていたとは、絶句致します。料理も立派な文化、食文化です。その文化に傷をつけた代償は、心をもって償ってほしいです。そして今後、このような卑劣な事件の起こらないことを願わずには居られません。
【2008/06/02 22:53】 URL | 妙昌 #-[ 編集]
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プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
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