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中華人民共和国の変貌⑦「中国全土を感動させた三万㌔親子旅③
 出発してから7ヵ月、上海に着いたふたりは民家に泊めてもらいました。
その日は、丁度母の100歳の誕生日です。王さんは、母が大好きなうどんをつくりました。
母は喜んで食べてくれました。
 新年を迎えた頃、取材で知り合った男性が「これから先は、自転車で行くのは無理だと思います。私があなたの自転車にエンジンを付けてあげましょう」と言ってくれました。
 それは、とっても有り難いことではありましたが、王さんは、エンジン音で母との会話ができなくなることが心配で断るのでした。
 旅は、上海からさらに南下して杭州へと進み、観光地を見て回り安らかな時を過ごすのでした。
やがて、福建省に入り、険しい山道が続きます。なかなか距離が伸びません。出発してから1年が過ぎ、母の体力も目に見えて衰えてきました。
 なんとか、中国最南端の海南島に辿り着くと「地の果て、天の先に行けるとは・・・」と母は、喜びの気持ちを表したのです。ふたりは、遂に中国大陸を縦断したのでした。
 王さんは、体力の衰えが目に見えてひどくなる母を見て考えました。「海南島からチベットまではまだ5000キロの距離がある。たとえ辿り着けたとしても故郷へ帰ることは叶わないだろう。母は、故郷へ帰りたいのではなかろうか・・それを言い出せないのであろう」と考え、故郷へ帰ることを決断しました。
 王さんは、帰り道にいろんな観光地を見せようと思いましたので母には、がっかりさせない為に「帰る」ことを告げませんでした。
 しかし、母は、出会う人々の服装や景色でチベットへ向かっていないことを感じ取っていました。
母は、自分の為に息子に散々な苦労を掛けたことを詫びました。手を握り合う親子の姿がありました。王さんは、母親の手が一段と小さくなっていることに涙が止まりませんでした。
 チンタオで取材を受けた時、相手の記者から「ふたり旅は充分なさったのだから、自転車の旅は止めて、飛行機で早く帰った方か良いのではありませんか?お母さんも無理でしょう。私も仕事で北へ行きますから一緒に飛行機で帰りましょう」と勧められ従うことにしました。
 ここで、母子ふたりの自転車旅行は900日、2万キロの旅を終えたのでした。
 列車と飛行機を乗り継いで故郷へ帰りついた母も2003年、102歳になった頃から次第に衰えて103歳の誕生日の2日前に息を引き取りました。
 母を亡くした王さんは、すっかり力を落として酒びたりの日々を過ごしていました。そんなある日、酔っ払って寝ていると、亡くなった母が目の前に現れて「酒は止めなさい」と叱るのでした。そして、「お腹がすいた」と言います。王さんは、うどんを作り、ふたりで食べたのでした。
 目が覚めると、夢なのか現実なのか分からないのに、やはり、うどんを食べていたのでした。
王さんは、母が死んだ後も自分のことを気遣っていてくれることに感謝しました。
 そして、母が「行きたい」と言っていたチベットへ、母の遺骨を連れて行くことを決心したのです。
 王さんは、母の遺骨とふたり分の食料を積んで1万キロ彼方を目指して出発しました。
 中国では、「遺骨を他人の家に入れてはいけない」という規則がある為に民家に泊まることはできませんでした。
 北京を過ぎた山道で脱水症状で倒れてしまいましたが、通りかかったトラックで病院へ運ばれて助けられました。
 医師は「この体でこれから先は無理だ」と言い、「西安までなら大丈夫だろう。西安についたら交通局を尋ねなさい。友人が力になってくれるはずだ」と言いました。
 王さんは、2週間で西安に着くと医師の友人を交通局に訪ねました。すると、そこには巨大なエンジン付のリヤカーが用意してあったのです。
 「どうしてもリヤカーで行きたい」という王さんの気持ちを尊重してくれたプレゼントだったのです。
 母と出発してから5年、3万キロの旅は、遂にチベットのラサに到着して終わりました。
母とお別れの祈りを捧げ、母の遺骨を撒いたのでした。

 この実話は、中国全土に報道され、人々の感動を誘ったそうです。私も、この番組を涙しながら見ました。
 吉田松陰先生の「親思う 心にまさる 親心 今日のおとずれ なんと聞くらん」という辞世の句がありますが、親は子を思い、子は親を思う。これが本来の親子のあり様だと思います。

 3回に分けて書きましたが最後まで読んでいただき有難うございました。

 11日(日曜日)は、母の日です。あなたは、お母さんに何をしてあげますか?

私は、亡きふたりの母に回向し、妻の母と義母に感謝の心を表します。
 そして、恵楓園で出会った「母」にカーネーションを届けます。これは、年に一度の私の楽しみなのです。
 「母という 字の暖かさ 有り難さ」
母の日の翌日は、私の54回目、長男の24回目の誕生日です。
「諸人よ 思い知れかし 己が身の 誕生の日は 母苦難の日」蒋介石の歌
 産んでくれた母に感謝し育ててくれた両親に感謝の心を表します。
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【2008/05/09 16:13】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(5)
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コメント
毎回有難いお話有難く拝見いたしております。小学校のころ寺で説教を聴くのが楽しみだったことを思い出しました。
それにしても時代の移り変わりには戸惑いを感じますね。「昭和の日」、「憲法記念日」も深く考える間もなく過ぎ去り、世相は、時代は、世界は、地球は何処へ向かっているのか考えてしまう今日この頃です。
【2008/05/09 21:41】 URL | 紹山 #-[ 編集]
 お久しぶりです。いつも読んでいただいて有難うございます。中国の親孝行の話は、長くて疲れたでしょう?
 短くしなければとは思うのですが、浅学非才の拙僧ですから、解ってもらう為には・・・と、どうしても長くなりました。
【2008/05/09 22:07】 URL | 慶ちゃん #-[ 編集]
素晴らしい感動のお話を有難うございます。涙の出る想いで拝読させて戴きました。老体に鞭を打ち母への孝行に徹する息子、その息子の身を案じながら好意を素直に受ける母・・・美徳を感じます。命を懸けて親孝行をする息子、命を懸けてそれを受ける母、過日読んだ「三輪空寂」布施の心に繋がりを感じました。最近の世相として親が子を、また子が親を殺める殺伐とした今日、このTV放映を見て僅かでも親子の絆、孝順心、親孝行・・・そんなことを感じ取って戴けると親子のあり方も改善されるのではないでしょうか?
ブログの最後に、他界された両母様に感謝の気持ちとして回向をして差し上げるという藤井老師の心の在り様には更に更に感動いたしました。私も昨年1月母を亡くし、4ヵ月後の母の日にはカーネーションの大きな花籠を御仏前にお供え致しました。まだ喪に服する期間中ではありましたが、敢えてピンク色のカーネーションをお供えすることで、自分の中では生き続けている母への想いを贈り物として表現致しました。今年は自分で育てた観葉植物にカーネーションの鉢植えを添えてラッピングを致します。溢れる感謝の想いを形にせずには居られません。
【2008/05/09 22:53】 URL | 妙昌 #Lx03s14c[ 編集]
良いお話ですね。
涙しながら拝見しました。この涙は自分の不甲斐なさからだと思われます。
実の母はずいぶん前に無くしましたが、80才と70才を越える今の両親が元気な内に孝行することを思い立ちました。御伊勢参りが良いかもしれません。
【2008/05/10 07:48】 URL | gurigura #5L0ekE16[ 編集]
 孫を持つ息子さんを叱っていた90歳を越えたお婆ちゃんを見たことがあります。
 いくつになっても、子は子、親は親なんですね。生きておられる時にこそ感謝の気持ちを表したいものです。
 亡くなってからでは遅いですし、亡くなってからする供養は生きておられる時にする孝行に比べて簡単すぎます。
【2008/05/10 08:40】 URL | 慶ちゃん #-[ 編集]
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藤井慶峰の日々を綴るブログです。法泉寺のHPへ

プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
(著書)美しい地球と未来を子供たちに ㈱ぱんたか刊 1300円 この本を送料・税込み1000円で差し上げます。

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