光市母子殺害事件に死刑判決・・・死刑制度は是か非か③
 私が、熊本刑務所の教誨師になったのが13年前のことですが、当時、グループ教誨に参加していた受刑者の中に80歳位の老人がいました。背筋が曲がって顔立ちも見るからに老人でした。
 毎月、真面目に参加しておりましたが1年程たった頃でしょうか、やがていなくなりました。
 刑務官に理由を訊いてみると無期懲役で服役して既に40数年を経過しているということでした。つまり、私が生まれる前から服役していたのです・・・驚きました。
 40年も服役していると、親はいなくなっているでしょうし、兄弟や甥、姪が居たとしても引き受けてくれる人は殆どいないそうです。身元引受人が居ませんから、仮釈放も認められることなく、一生を刑務所の中で暮らさなければならないのです。実質的に「終身刑」をくらったようなものです。
 彼が行った先は、「医療刑務所」だったようです。(刑務官にも教誨師にも守秘義無がありますから正直には答えてはくれません。私も、受刑者が特定できるような内容は書くことができません)
 今現在、その受刑者が生きているのか死んだのか、或いは寝たきりになっているのかを知る術はありませんが、現実に、介護を必要としている受刑者が増加していることは事実であります。
 刑法の改正によって、有期刑が最長30年に引き上げられましたから基本的には、無期懲役の者は30年未満での仮釈放はない訳です。従って、益々、受刑者の高齢化が進むことは止められません。
 まして、刑務所は規則正しい生活ですし、酒もタバコも禁止です。
 食事もカロリー計算をして受刑者の労働内容、健康状態に合わせたものを食べることができますから長生きできることは間違いないと思います。
 「刑務所に入りたい」と言って犯罪を犯す者がいるのは納得できるのです。
 我が国は、まだまだ被害者に対しては冷たく、加害者の人権は保護しようとする考えが強いようです。刑務所内でも「人権」を主張する者が多いのも事実です。
 私は、犯罪者の人権は著しく制限されて当然だと思いますし、逆に被害者の人権は完全に守られなければならないと思っています。犯罪に巻き込まれて犠牲になった人やその家族がどんなに苦しむのか、暗闇のどん底に落とされるのかを考えるなら被害者とその家族の救済こそ最優先されるべきだと思います。
 そして、社会復帰(出所)した犯罪者の再犯から善良なる市民を守る為には、再犯を犯す確立の高い者に対する監視の強化は当然必要です。(アメリカではGPSを使った監視体制が取られています)
 また、「死刑にはならない・・・」等と嘯く者に対しては厳罰主義を徹底することも必要だと思います。

 さて、いよいよ死刑の是非について触れなければなりませんが、善良な市民を守る為には死刑制度も必要だと考えます。
 もし、「終身刑」を導入することになれば、それも良いのですが、今まで述べてきましたように「高齢化・介護」の問題もありますし、「一生を刑務所で暮らすことに意味があるのか、生きている価値があるのか」ということを考えますと刑罰として「死刑または終身刑」を犯罪者本人に選択させることも考えて良いのではないかと思います。
 つまり、判決は「死刑または終身刑に処する。但し、被告人は、3年以内にどちらかを選択することができる。」となります。3年間は、死刑の執行はしないで積極的に教誨活動や贖罪教育を実施して犯した罪について反省させ、刑を受け入れる心を涵養するのです。

 今、日本社会にとって一番必要なことは、「命を大切にする文化」を育てることです。
政治は「自己責任論」で弱者切り捨て政策を次々に打ち出しています。子供達は、テレビケームや命を粗末に扱う映画やテレビ番組で侵されています。
 社会の仕組み自体が弱い者いじめをして子供達に悪影響を与えつづけているのです。
 これを改善しない限り、どんなに警察官を増やそうと防犯装置、カメラを付けようと犯罪は減ることはないと思います。
 心豊かな人間を育てる社会環境を取り戻すことが急務です。
 
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【2008/04/24 22:22】 | いのち | トラックバック(0) | コメント(3)
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コメント
こんばんは。
藤井老師のブログを拝見し、話題の豊富さから未知の世界だったことがが少しずつ見えてきているのを嬉しく感じております。余り興味のなかった政治に関しましても、内容を克明に書いてくださいますので、今まで分からなかったことが知識として蓄えることが出来、ブログ見る楽しみも増しております。
また、法を犯した受刑者の様子もこれまで気にはなりながらも知る術はありませんでしたが、こうしてブログに書いて紹介してくださいますので、色々なことが勉強になります。
過日のブログでも、カラオケ大会の様子を書いて下さり、自由を拘束された受刑者にも心癒しの時間があることを初めて知りました。更にこのブログでは終身刑の末路、医療刑務所の現況や今後の見通しまで紹介下さり、またまた未知の世界が開け、興味を深く致しました。

殺人などの凶悪犯罪をはじめ事件の多発している今日、裁判の在り方や、法律改正問題、警察の運営(取調べ等)に一般国民の関心が高まってきけおります。こんな国民の一人ですが、教誨師という職をお持ちの藤井老師より、刑務所の組織、環境についてや、受刑者の心理など情報を戴けることは、大変有難いことと感謝申し上げております。人権問題や法律問題に関心を持つことは、道徳観念の質の向上に繋がり、それが総合的に国民の質の向上へと繋がっていくのではないかと思います。

殺人、自殺などこのところのニュースで命の尊厳を強く感じておりますが、今日の稲井老師の人生のみやげ話の中で、大切な人が待っているふるさと(冥途)に持っていくみやげは「生きていく勇気と生きていく力」苦を乗り越える勇気と力を持って欲しいと熱弁していらっしゃったことに感動を覚えました。
今日を精一杯生きていくことを人生のみやげとし、両親、先祖のもとに帰りたいものです。
【2008/04/26 00:51】 URL | 妙昌 #Lx03s14c[ 編集]
いつもコメント有り難うございます。
社会一般の方々が「終身刑」の必要性を訴えられる考えは、死刑制度に反対の立場の方が多いように思います。そこには、犯罪者がやがて老いて介護が必要になるというようなことには考えが及んでいないと思いますね。
 全ての方がそうだとは言いませんが。
一生を刑務所の中で過さなければならないということは大変な苦痛だと思います。
「死んだ方が良い」と考える受刑者も相当でてくるでしょう。生きて苦しむ、介護を受けなければならなくなるのも苦痛だろうと思います。
 だから、私は本人に選択させる方法もあるのではないかと思っています。
【2008/04/26 01:23】 URL | 藤井 #-[ 編集]
追加です。
稲井老師のこと大変懐かしく思い出していました。布教師養成所では私が一番若かったので先輩方から可愛がっていただきました。
 皆さん、それぞれ立派な布教師になられて嬉しいです。
【2008/04/26 01:28】 URL | 藤井 #-[ 編集]
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プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
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