何故、TPPに参加してはいけないのか?
植草一秀先生は下記のように述べられています。
私も同じ考えですから紹介します。
1.国民の生命、健康を守るための諸制度が壊されること
2.いつでも・どこでも・だれでもが、良質の医療を受けることのできる制度である、日本の公的医療保険制度が破壊されること
3.日本のコメ農業が崩壊して、食料自給率が大幅に下がり、国土が荒廃し、日本文化が破壊されること
1の問題とは具体的に次のようなものだ。
残留農薬の規制、遺伝子組み換え食品の表示義務、BSE対応策、排ガス規制などの諸規制、制度が破壊される可能性が高い。
軽自動車に対する優遇措置も撤廃を要求されるだろう。
これらの諸制度、規制は国民の生命や健康を守るためのものである。
こうした規制や制度が破壊されることは、日本の国民の利益を損なうものである。
日本の公的な諸制度のなかで、比較的、国際的な評判の良かったもの、良いものを三つあげるとすると、住宅金融公庫、郵政三事業、公的医療保険制度、になるだろう。
小泉改革は、このうち、住宅金融公庫と郵政三事業を破壊した。
今度は公的医療保険制度が破壊されることになる。米国の医療費支出のGDP比は日本の2倍だ。医療の自由化=市場化が進み、医療費価格がべらぼうに高い。
米国は日本の医療自由化を狙っており、その結果として、民間医療保険、医療機器販売、医薬品販売での利益拡大を狙っている。
日本の医療自由化が進展すれば、金持ちしか十分な医療を受けられない状態が生み出されることは確実である。
日本がTPPに入れば日本のコメ農業は壊滅的な打撃を受ける。国内のコメ作りはほぼ全滅するだろう。食糧の自給率は低下し、日本の農業が外国資本によって支配されるようになるだろう。
世界的な農業危機が発生すれば、日本国民は食料を得ることができなくなる。また、資本の論理が優先する農業で、日本の国土の多くが荒れ地と化すことも間違いない。
日本農業は日本の伝統・文化と不可分に結びついている。この伝統・文化も必ず破壊されることになる。
つまり、コメ農業の破壊はコメ生産者の問題ではなく、日本人そのものの重大問題なのである。
さらに大きな問題が存在する。日本がTPPに入ると、外国資本が日本に投資して利益を上げられない場合、日本の制度・規制が問題だとして損害賠償を求めることができるようになる。
その裁定は世界銀行傘下の機関が行い、日本政府は抗弁できない。不当な裁定が示されると、日本国民は賠償金支払いを強要されたうえ、日本の制度・規制を強制的に変更させられる。
つまり、現代版の治外法権が植え込まれるのだ。
日本の関税率は全品目平均、農産物平均のいずれも、国際標準で十分に低い。TPPに入らなくても日本が閉鎖的であると言われる筋合いはない。
貿易自由化は韓国、中国、インドなどをも含めたASEAN+3やASEAN+6の枠組みで推進すべきであり、TPP参加反対論者の多くは、基本的に自由貿易推進論者である。
TPP参加反対論は、自由貿易推進ではあるが、日本が米国の言いなりになるTPPには参加すべきではないとの立場を取るものなのだ。
日本の主権者国民には、この真実を正確に伝える必要がある。真実を正確に認識すれば、大半の日本の主権者国民はTPP参加反対の主張を支持することになるはずだ。
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