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いのちを語る⑰「不公平裁判」で死刑判決そして刑は執行された
 Bさんはこうして有罪へと追い込まれて1953年8月29日、出張裁判で死刑判決を受けました。9月7日、福岡高裁に控訴、5回の出張裁判後に控訴棄却、原審判決通り死刑判決が下されました。
 この裁判の過程で同じ病気に苦しむ全国の療友はBさんの無実を信じて全国ハンセン病患者協議会を中心に公正な裁判を要求して立ち上がりました。この裁判では、
①被告の人間性や生命が、ハンセン病者であるが為に軽んじられている。
②人間の生命はたとえその人がどのような境遇におかれようとも、何にもまして尊い。仮にB氏が罪を犯していたとしても、不完全な裏付けで尊い生命を奪うことは人道上妥当ではない。
③死刑という極刑はハンセン病患者への見せしめの意図がある。
 以上の三点をもってこの事件を重視し、人権のためのみならず裁判の公正と名誉のために世論に訴え、民主団体や文化人にも援助を求め、乏しい中からカンパを出し合って援助と裁判の費用を集めました。そして、9月12日、最高裁に上告しました。
1956年4月と1957年3月の二回口頭弁論が開かれましたがBさんや支援者の期待は裏切られ8月23日、上告棄却死刑が確定したのであります。
 弁護団は直ちに「不当判決」を弾劾し、再審請求をしましたが1962年9月13日に再審請求は退けられ、その翌日の14日、家族にも弁護団にも、本人にさえ知らせずに早朝より福岡拘置所に移送し、その日の午後、死刑が執行されたのです。
 私は熊本刑務所の教誨師を務めておりますが先輩の教誨師より死刑執行の当日、Bさんを福岡拘置所に移送し死刑執行に立ち会った元刑務官の話を聞くことが出来ました。
 当日の朝、突然にBさんを福岡拘置所への移送命令が来たので、上司に対して「家族にも誰にもしらせないでこんなことはおかしい」と抗議したが「職務命令だ」と移送を命じられた。当時の国道三号線のガタガタ道を走って昼頃、福岡拘置所に着いた。しかし、Bさんは拘置所の中へは入れてもらえず外で待たされた。そこで拘置所の刑務官が「これでお別れですね」と声を掛けると「転勤されるんですか」とBさんは尋ねた。刑務官は「いや・・・」と答えた。それを聞いたBさんは「死刑執行」を悟ったのか真っ青になった。そして、午後1時、死刑は執行されたそうです。この話は、この刑務官が家族にも誰にも語ることなく心の奥底に仕舞い込んでいたものを死ぬ前に尊敬する教誨師の先生に敢えて話されたのだそうです。
 この話をブログに書く事を私自身も躊躇しましたがBさんの命が軽く扱われたという事実を考えるとBさんの名誉の為にも書くべきと判断しました。(実際は、もっと生々しい証言ですが読むに堪えない、聞くに堪えない内容になりますので省きます)
 (参考資料)菊池恵楓園入所者自治会80年の軌跡「壁をこえて」
 
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【2007/02/15 01:09】 | ハンセン病 | トラックバック(0) | コメント(0)
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プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
(著書)美しい地球と未来を子供たちに ㈱ぱんたか刊 1300円 この本を送料・税込み1000円で差し上げます。

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