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いのちを語る⑭社会的背景「無らい県運動」
 Bさんが、この事件の容疑者から犯人に仕立てられていく背景には、ハンセン病に対する偏見と差別がありました。
 ハンセン病という病気は、結核菌に似たレプラ菌という細菌によって感染しますが、この菌は空気中では生きていけない性質の極めて弱い菌であり、感染力も極めて弱いものです。抵抗力のある人は殆ど発病することはないのですが発病すると末梢神経を侵される為に怪我をしても痛みを感じなくなったり、何かが刺さっても痛みを感じなくなるのです。従って、その傷を治そうとする治癒力も働かない為に化膿が進むということになるのです。そういう、外見的な後遺症が人々に恐怖感を与えることもあったようです。
 また、仏教やキリスト教では「悪業の報い」としての「業病」「天刑病」という間違った考えから「勧善懲悪」を説く法話の道具として引用してさらに恐怖感や嫌悪感を植えつけてきたのです。さらに、国は「国体を弱体化させる病」として絶滅政策を実施してきました。
明治維新後、明治憲法下では天皇を現人神として崇め神国日本として富国強兵策を推進してきました。従って、国体を弱体化させる病、穢れた病として排除の対象とされました。そこで起こったのが「無らい県運動」であります。
 昭和18年、アメリカのファーゲット博士がプロミンという結核の薬がこの病気に効果があり完全治癒を確認し、終戦の年には我が国にも伝わり、21年には我が国でも製造されるようになつて「不治の病」ではなくなったのです。
 昭和26年には厚生省が療養所の拡充を図りベット数を大幅に増やしたのですが入所する人は少なく空き部屋がたくさんあるという状態になったのです。
「予算を取って拡充した施設に患者がいない」というのでは面子が立たない。そこで再び起こったのが「無らい県運動」で患者の強制収用でありました。
 この年の11月の参議院厚生委員会では「癩予防法の廃止」が論議されました。ところが、参考人として呼ばれた、菊池恵楓園の宮崎松記、多磨全園の林芳信、長島愛生園の光田健輔、以上の三園長は、更に予防法を強化することを訴えたのです。その結果、本来、廃止されるべき予防法が「強制隔離と懲戒検束権」が更に強化されると言う結果になり「癩予防法」から「らい予防法」に変わって「近き将来本法の改正を期す」という付帯決議がされて平成8年3月31日まで続くことになったのです。
この時期に、起きたBさんが容疑者にされた事件はハンセン病者にとっては最悪の時期であったと言えましょう。
当然、社会の中の偏見差別は酷くなる一方だったようです。それが、「あいつだったらやりかねない」とか「らい患者なら死んでも構わない」という偏見があったのです。
 狭山事件の報道もこの事件の当時の報道も「犯人」と決め付けたような報道がありました。それは、当時の社会的風潮を表しているのです。
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【2007/02/08 15:30】 | ハンセン病 | トラックバック(0) | コメント(0)
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プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
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