「県のハンセン病問題啓発推進委員会」で講演の内容です。④
4、 無らい県運動と仏教
 このビデオの中にも出ていましたが、無らい県運動に宗教者、僧侶が加担し、これまで述べてきた檀家制度、差別儀礼、差別戒名と悪しき業論の展開が人々の意識の中にハンセン病に対する偏見と差別を強く植え付けてきたこと、ハンセン病患者の方々に対して諦めを説いてきたこと間違いありません。
そういう意味で、私達宗教者も加害者であると言わざるを得ないと思います。
 このような悪しき業論を絶対に引用させない為の僧侶に対する教育も極めて重要であります。

5、 小説「小島の春」と映画「小島の春」
 昭和15年に映画化された小説「小島の春」が無らい無県運動に果たした役割について触れておきたいと思います。
 原作者小川正子女子は、岡山県の長島愛生園に勤務する医師で光田健輔園長の弟子でありました。小川正子女子が瀬戸内海の島々を回ってハンセン病を患って自宅で療養している人達に療養所への入所を勧めて回りますが、その中で出会った人々との出来事や詠んだ歌を日記風に記録したものです。
 それが、ベストセラーになり映画化されました。それが昭和15年のことです。
その翌年は、12月8日の真珠湾攻撃によって太平洋戦争が勃発しました。
このような時期に映画化されたのは何故か、私はハンセン病患者の療養所への入所、収容を勧める為だと思います。(資料)
 

6、 曹洞宗のハンセン病問題に対する取り組み
 先述の通り、平成13年6月28日の曹洞宗宗議会による謝罪決議、その後、全国の療養所を訪問し謝罪と懺悔の法要を実施し、人権主事や僧侶の研修を実施し啓発活動に取り組んでいます。
ここ菊池恵楓園でも曹洞宗熊本県第一、第二宗務所と九州管内僧侶の協力で1月には、入所者の皆様の無病息災をお祈りする大般若祈祷法要を実施し、8月には、亡くなられた方々の為に大施食法要を行っています。
この法要もただ単に法要をすれば良いというものではありません。一番大切なことは啓発活動です。参加した僧侶が療養所に来て入所者の皆様の話を聞き、ハンセン病について正しく学び、いろんな機会にハンセン病問題について正しい情報を檀信徒や一般の方々に正しく伝えることが重要です。
人権啓発ビデオ「ハンセン病問題、私たちが問われているもの」もそのひとつです。

7、 遺骨の帰郷運動 死んでからも返れない現実がある。
 謝罪決議文の中に「遺骨の帰郷運動」の言葉を入れるかどうかちょっと悩みました。
人権本部と協議した結果、入れることになりました。
 遺骨に対する考え方は、教団によって、坊さんによっても違う。
「遺骨は帰さなくても良い」とはっきりと言う坊さんも居る。
曹洞宗では、「故郷の地に眠りたい」という人がいる限り、その切なる思いを、切なる願いを叶えるようにしなければならないということです。

8、 母の日のカーネーションと父の日のバラのプレゼント
啓発活動に繋がっている。
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【2017/10/03 20:38】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0)
「県のハンセン病問題啓発推進委員会」で講演の内容です。③
2、 宗教統制と檀家制度 
1600年の関が原の戦いで勝利した徳川家康は体制を確立する為に中央集権的な統制を進めます。宗教統制も支配体制を確立する為に1601年から1615年にかけて寺院統制令(寺院法度)を出します。これは、京都を中心とした本山格の寺院を抑えることが目的でした。本寺と末寺を明確にし、寺院と檀家の関係も支配関係を確立させるために「寺請証文」、「宗門人別改帳」を設けて支配関係を強固にしていきました。これは、キリシタンや藩によっては、薩摩藩や相良藩などでは、一向宗を抑えるためにも利用されました。
 信教の自由は認められず、寺社奉行が全てを支配して寺檀関係、寺と門徒の関係が作られました。
 寺院住職、僧侶に対して檀信徒、門徒を監視させる役割も担わせたとも言えます。
 檀家、門徒に対する寺院との支配関係、身分関係から差別戒名や差別法名がつけられることもあり、差別儀礼も行われました。
 この差別儀礼の指南書の一つ「非人癩病狂死者引導法幷符」や「差別切紙」で差別儀礼を伝えて来ました。
 また、檀信徒、門徒の教化の為に説教、説法に力を入れるようになりました。
その布教教化の中で説かれたのが悪しき業論があります。

3、 悪しき業論による差別の助長 
 病気や怪我、様々な身体的、精神的な障害を持つ人に対して「過去世の悪業の報いによる結果だ」として諦めを説いてきました。それは、偏見と差別を助長する結果となり差別を正当化することになりました。
ハンセン病に対しても悪業の報いとして「業病」とか天罰による病気として「天刑病」などと説いてきたのです。
 仏教の本来の業論は、修行者本人の今の有様を自分の過去の行為の結果として受け止めるべきものであります。
それに対して、「悪しき業論」とは、本人の行為とは関係なく、過去世や先祖の行為の結果として現在の有様があるとして差別や勧善懲悪、或いは、恫喝の理論として利用されました。

 善悪因果経とか因果和讃は、悪しき業論の典型的な例であります。

また、ビデオの中に「法華経を誹謗中傷した者は白癩に堕ちる」という言葉がありました。
この言葉は、法華経を信仰させる為に「恫喝」としての働きがあります。
御承知の通り、熊本市の本妙寺様は日蓮宗のお寺で加藤清正公の菩提寺であります。かつて、本妙寺様の参道やその周辺にハンセン病の患者さん方が多く集まり集落を形成しておりました。何故、本妙寺周辺に集まられたかと考えますと「法華経を誹謗中傷した者は白癩に堕ちる」と言う事は、逆に法華経に救いを求めて集まって来たということも言えるのではないかと思います。

【2017/10/03 20:36】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0)
「県のハンセン病問題啓発推進委員会」で講演の内容です。②
1、 世界宗教者平和会議での差別発言
1979年(昭和54年)9月、アメリカのプリンストンで開催された第3回世界宗教者平和会議に於いて、当時全日本仏教会理事長を務めていた曹洞宗宗務総長が、現実問題部会・第三分科会の中で、日本における部落問題の文言の削除を求めた発言です。
 作業部会の一つである「人権と人種及び民族グループ」からの報告書の原案の中に「我々は、日本の部落民とか、インドのアンタッチャブルのような人々の苦境に深い懸念を持つ」という一文が入っていました。
 それに対して、削除すべきだとして3回にわたって発言しました。
① 日本に部落問題、部落差別というものはない。
② 部落解放を理由に何か騒ごうとしている者がいるだけ。
③ 政府も自治体も誰も差別をしていない。
④ だから日本においては、現在、部落問題、部落が差別されているようなことは現実にない。
⑤ 日本の名誉の為にも部落問題の個所は報告書から削除して貰いたい。
以上のような、内容で現実を無視した宗教者として本質を問われる重大な発言でした。
 この差別発言に対する曹洞宗に対する確認会や糾弾会学習会が曹洞宗だけでなく、他の教団宗派が本格的に人権問題に取り組む契機となりました。
 1981年(昭和56年)53の教団(現在は64教団)と三連合体が「同和問題の解決なくしては、もはや宗教者たり得ない」と「同和問題」に取り組む宗教教団連帯会議を結成しました。
 糾弾学習会の中で宗門の中に存在する差別事象が明らかになりました。
① 過去帳や墓石に刻まれた差別戒名や差別記載。
② 差別儀礼の伝承。(ビデオの中にも紹介されていた)
③ 檀家制度を利用する身元調査の実態。
【2017/10/03 20:25】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0)
「県のハンセン病問題啓発推進委員会」で講演の内容です。①
熊本県ハンセン病問題啓発推進委員会における報告
                           於菊池恵楓園自治会ホール
                           2017年10月2日18時30分〜20時30分

 皆さん、こんばんは宇土市の曹洞宗法泉寺住職の藤井慶峰です。
この度、県の「ハンセン病問題啓発推進委員会」に於いてお話させていただく機会をいただきましたことを有難く思っております。
 私は、曹洞宗の人権啓発相談員、これは曹洞宗では部落差別をはじめとする様々な人権問題に取り組みをしておりますが、全国に66あります宗務所の人権擁護推進主事の指導や宗門の人権啓発書籍の出版或いは、ビデオ製作などに携わる役職で全国に10数名おります。
私は平成10年11月から4年間相談員を勤めまして、その間、人権啓発基礎テキストの編集出版と人権啓発ビデオ「寝た子を起こすな、その差別思想を問う」の製作とこれから見ていただきますハンセン病問題啓発ビデオ「ハンセン病問題、私達が問われているもの」の製作に携わりました。特にこのビデオについては、私自身の強い思い入れがあったものです。
 また、平成13年5月11日の「らい予防法違憲国家賠償請求訴訟」に対する熊本地裁の原告全面勝訴判決についての「全国同和問題に取り組む宗教教団連帯会議」の公式見解の原案も執筆しました。
その後、同年6月28日に曹洞宗宗議会で決議された謝罪決議文の原案も書かせていただいたことであります。
この謝罪決議文については、2種類家はました。ひとつは,他宗の決議文と同様にもっと短く簡単にまとめたものとこの決議文であります。
詳しく書いた理由は、これから和尚として生きて行く人達に読んで分かるようにしておきたいと思ったからであります。

その後、中山節夫監督と菊池事件で死刑判決を受けて処刑された藤本松男さんの教誨師をされた坂本克明牧師さんに請われて映画「新・あつい壁」の製作実行委員会の事務局も務めさせていただきました。
 人権啓発相談員は、辞めましたが現在は、熊本市の人権啓発推進室の講師として務めさせていただいております。
 他の仏教団も同じですが、曹洞宗でもハンセン病問題では、国や行政と同じく加害者であったという立場で啓発活動に取り組んでおります。
本日は、最初に曹洞宗で制作しましたハンセン病問題啓発ビデオを見ていただきまして、その後お話をさせていただきます。

【2017/10/03 20:22】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0)


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プロフィール

藤井慶峰(ふじい けいほう)

Author:藤井慶峰(ふじい けいほう)
1954(昭和29)年5月、宇土市生まれ。
 ペットは愛犬レオとルナ(10年前に捨てられていた雑種犬ですが気が利く我が家の番犬です。レオはオスで門番をしています。お参りの人や用があって来た人は笑顔で迎えますが、怪しい人には吠えます。但し、夜は見知らぬ人には吠えますのでご注意。(噛みはしません)八幡大学第2部法律学科卒業、法泉寺26世住職 大本山総持寺布教師 曹洞宗九州管区教化センター布教師 九州四十九院薬師霊場会理事 熊本市人権啓発推進総室講師 保護司 熊本刑務所教誨師 平成義塾熊本前塾長 ハンセン病市民学会宗教部会世話人 人権啓発映画「新あつい壁」製作上映実行委員会事務局世話人  環境ネットワーク熊本会員 宇土の文化を考える市民の会世話人 不知火竜馬会会員 自殺防止ネットワーク風熊本相談所 
 宇土市議会議員(3期目)

(好きな言葉)希望は高く頭は低く   実るほど頭の下がる稲穂かな    身を削り 人に尽くさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し
(尊敬する人)お釈迦様  マハトマ・ガンジー  横井小楠  坂本竜馬  吉田松陰 田中正造 西郷隆盛 小松帯刀 天璋院篤姫
(著書)美しい地球と未来を子供たちに ㈱ぱんたか刊 1300円 この本を送料・税込み1000円で差し上げます。

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