
今日(4日)、午後6時40分から宇城市のウイング松橋大ホールで青年劇場の「族譜」の公演がありました。
これは、かつての日本帝国主義時代の韓国併合、皇民化政策、創氏改名をテーマに描く舞台劇です。
「族譜」(ぞくふ)は、朝鮮の人々が自分の家系を記録し、その時代に起きた様々な出来事を書き残して次代へと伝えていくものです。
谷六郎は、朝鮮総督府の事務官として、朝鮮の人々に日本名への改名を義務付ける「創氏改名」の担当をしていましたが、担当する地域の改名が中々進みません。そこで、地域の有力者であり人望も厚い薛鎮永(ソルヂニョン)を改名させれば他の人々も従うだろうと考えて説得に行きます。
しかし、谷は薛の人柄に惹かれ、先祖代々伝えられてきた族譜を見せて貰います。そこには、民族の誇りと家を守ってきた祖先の苦悩の歴史が記されていました。
やがて、朝鮮総督府が推し進めている創氏改名や日本語の押し付け、皇民化政策が如何に理不尽な事であるかを考えるようになります。
谷は、創始改名が進まない責任を取らされ担当から外されます。
薛は娘の婚約者である医師を志し大学で医学を学んでいた金北萬(キムフンマン)が憲兵隊に捕らえられ「志願兵」として無理矢理、日本兵として徴兵させられたことを知り自分が創氏改名を拒否しているからだと考え、意に反して「日本名」を届けます。そのことを族譜に「薛の家は滅びた」と書き記して自ら命を絶ったのです。
最後の場面は、谷が、薛が創始改名に応じてくれたことに感謝の意を表す為に訪ねてきます。
そこで、娘から聞いた事は、薛が族譜に書き記して自ら命を絶った事と、400年前の豊臣秀吉の朝鮮征伐によって多くの朝鮮の人々が無差別に殺され耳と鼻を削がれた悲惨な歴史と薛家の当時の当主も家を守る為に命と引き換えに耳と鼻を削がれた悲しい記録の話でした。
「近くて遠い国」日本と韓国、朝鮮との関係を深く考えさせられる内容でした。
会場は超満員で最後は、地元出身の吉村直さんがお礼の挨拶を述べられ、脚本・演出を手がけられたジェームス三木さんも挨拶され拍手喝采でありました。
出演者の吉村直さんは、宇城市松橋町豊福の出身で、この公演には、地元の同級生の人達が実行委員会を結成して頑張って来られました。
私も、微力ながらお手伝いさせていただいたことに感謝しております。
内容も芝居も素晴らしい劇だったと思います。多くの来場者が賞賛の言葉を語っていました。